森のこーひーやさんと エチオピアの豆のおはなし

ある晩、月の光のさす時間に、
ふくろうさんが森のこーひーやさんにやってきました。

「遠い土地の森で、香る豆を見つけてきましたよ。」

あおが焙煎しはじめると、
あたりには野ばらとラズベリーのような香りが広がって、
森の空気が、ちょっぴりドキドキするような静けさに包まれます。

あかは、夜ふかしの動物たちのために、
ひとつずつカップをならべて言いました。

「これは、“よるのしじまブレンド”にしましょうか。」

コーヒーをひとくち飲んだフクロウさんが、
「この香りなら、眠るのがもったいない」と目を細めて笑いました。

夜の森に、ふわりとやさしい灯りがともる。
そんなコーヒーが、できました。

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